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四季蔵再生

the brewery wears the water jacket & changes the urban landscape

木下 光 (関西大学)

東野 友信(TOFU)

小川 文也(TOFU)

前谷 吉伸

2004年

 四季蔵は1960年代前後、大量生産システムの中核施設として数多く建設された。その過剰なまでのマッシブなコンクリートの塊は壊すのではなく、新しい工場建築、都市のランドマークとして転生されるべきである。その内部では、断熱材と空調設備に依存する閉じた日本酒づくりが行われている。この再生計画では生産工程で大量に使用されている水を外皮として循環させることで、ハイブリッドな温度コントールを行い、都市のウォーター・オアシスとしての工場建築へと変貌させる。都市に背を向けて酒をつくるのではなく、この水の外皮によって人の流れ、製造プログラムの流れが視覚化され、都市の風景となる。そして、米を蒸す際の蒸気や仕込みや搾りの際の香りを箱の中に閉じこめるのではなく、アーバンランドスケープのエレメントして活用する計画である。

 日本一の清酒銘醸地灘五郷では、現在阪神工業地帯に属する工場建築群として認識され、その意識を強めつつある。六甲おろしや宮水といった灘独自の気候風土に根ざした伝統的木造酒蔵は酒造工程の変革発展などにより姿を消し、それに代わり主流となったRC造の近代蔵も、屋外タンクなど設備化する酒蔵建築としては断熱性が悪く無用の産物となりつつあるが、その建て替えは現実的でない。我々の提案は、装置化する生産施設を要しながら現在でもエコロジカルな非工場型産業としての特質を維持する酒造業に対し、近代蔵を大量に消費されている水で覆うことによりその断熱効果を高めつつエコ建築としての認識を広げ、新たな地域連関形成へ一石を投じるものである。

 

酒蔵と聞いて伝統的木造酒蔵をイメージする人も多いだろう。しかし、現在日本一の酒処「灘」ではそんな光景は見当たらない。本来酒造りとはその気候風土に根ざし、現地の米と水から作られ、糠や粕といった中間廃棄物までほぼ全て利用されるといった具合に他の工場群とは比類なものであるが、酒造工程の変革発展のより、60年代他の工場建築と同類なRC造の近代蔵が数多く建設されたが、震災の影響を受なかったものの機械化により設備化し無用の産物となりつつある。そこでこの近代蔵を大量に消費されている水で覆うことによりその断熱効果を高め、エコ建築としての認識の拡散、新たな地域連関形成を促すことが我々の提案である。

 

これは、日本一の酒処「灘」に数多く残るRC造近代酒蔵の再生プロジェクトである。阪神大震災や機械化により灘では木造酒蔵の風景は一変してしまった。木造蔵に変わり60年代ごろから建設された近代蔵も熱を嫌う酒造りとしては断熱性に優れず、無用の産物となりつつあり、近年では瓦屋根や漆喰白壁をイメージし木造蔵風に模倣されている。本来酒造りとはその気候風土に根ざし、現地の米と水から作られ、糠や粕といった中間廃棄物もほぼ全て利用されるといったように他の工場群とは類なきエコ産業である。酒造建築として一時代を築いた近代蔵を大量に消費されている水で覆うことによりその断熱効果を高め、工程を視覚化するものであり、新たな地域連関形成を期している。

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